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YouTubeの人気ジャンル「歌ってみた動画」に著作権の問題はない?

YouTube, 動画ビジネス

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こんにちわ!大阪でクリエイターをしています、藤原ななえ@fujiwara_nanae)です!

こだわって制作した映像、せっかくなら「YouTube(ユーチューブ)」をはじめとする動画共有サービスを利用して、たくさんの人に観てもらいましょう!とはいえ何からどう初めればいいのか分からないという方も多いと思いますので、できるだけ分かりやすく、オリジナル映像のシェア時に役立つ情報をご紹介しますね!

今回ご紹介するのは、「歌ってみた動画」の著作権の問題についてです。

この記事にたどり着いた方のほとんどは、著作権や著作権法について「よく分からない」または「きちんと知りたい」と思っている方だと思いますので、今回の記事はできるだけ飛ばさずに、目次の1番からじっくり読み進めてくださいね。では目次はこちら!

カラオケ音源の歌ってみた動画は基本ダメ

最近はあまり見かけなくなりましたが、YouTubeでは一時期カラオケ音源を利用した「歌ってみた動画」がたくさん投稿されていました。何せスマホ1台あれば動画の撮影から投稿まで気軽に行えるので、カラオケの様子を撮影した動画をYouTubeなどに投稿することによって起こり得る著作権上の問題まで、わざわざ考える人は少ないのかもしれません。

少し前、替え歌動画を投稿していた人気YouTuberが大量に動画を削除したことが話題にもなりましたが、なにも著作権を侵害する行為とは、市販の音楽CDやApple Musicなどのインターネットサービスで配信される楽曲をそのままYouTubeなどにアップロードすることだけではなく、替え歌やカラオケ音源を利用した「歌ってみた動画」も例外ではありません

カラオケ事業者のサービスなら問題ナシ!

詳しい話は後述するとして、先にカラオケ音源の「歌ってみた動画」を100%安全に投稿できるサービスをご紹介しておきますね。カラオケと言えば「JOYSOUND」と「DAM」が有名ですが、これらサービスを運営する株式会社エクシング株式会社第一興商は、それぞれ「うたスキ」と「DAM★とも」という会員制のSNSウェブサービスも運営しています。

もちろん、それぞれのサービスの中でそれぞれのカラオケ音源を利用した「歌ってみた動画」を投稿することは著作権の侵害にはなりませんが、サービスの範囲を超えれば規約違反ならびに著作権の侵害になります。また、カラオケ中にディスプレイされる映像には別の権利が関わりますので、撮影時は画面を写り込ませないように注意しましょう。

POINT

個人的に調べてみたところ「JOYSOUND×ニコニコ動画」というサイトページを見つけたので、今後はDAMも含めて、ニコニコ動画だけでなくYouTubeなどにも「歌ってみた動画」を自由に投稿できる日がくる可能性もゼロではないのかもしれません・・・!詳しくは、各公式サイトにてご確認ください。

こちらの記事では、著作権の基本的な知識についてわかりやすく解説していますので、何が何だか全く分からないという方は、まずはこちらの記事を読んでみてくださいね。

楽曲関係者がもつ権利を整理してみよう!

ここでは、楽曲の制作に関わる人たちの権利についてご紹介します。小難しく感じると思いますが、ここを理解できると一気に頭の中のモヤモヤがすっきりするはずですので、著作権についてきちんと理解しておきたいという方は、ぜひ飛ばさずに読んでみてくださいね。

楽曲をつくった人の権利

楽曲をつくった人(=著作者)とは、楽曲の作詞や作曲、または編曲を手掛けた人を指します。著作者は、著作物によって得られる財産的な利益が保護される「著作財産権」と、著作者本人の人格的な利益が保護される「著作者人格権」を持ちます。

一般的に言われる「著作権」とは、「著作財産権」のことです。また「著作財産権」は譲渡や相続することができますが、「著作者人格権」は譲渡や相続することはできません。

ここから少しだけ複雑な話になりますが、楽曲の著作財産権はJASRACやNexToneといった音楽出版社に譲渡されていることがほとんどです。どういうことかと言うと、例えばモーニング娘。の代表曲「LOVEマシーン」の作詞作曲者はつんく♂さんですが、つんく♂さんの著作財産権はつんく♂さん本人ではなく、JASRACが保有・管理しています。

POINT

「音楽出版社」と聞くと、そのまま「音楽を出版している会社」というイメージを持つ方が多いと思いますが、実際には少し違います。簡単に言うと、音楽出版社は音楽の著作権(著作財産権)の管理とプロモーションを行い、管理楽曲が利用されることで発生する「著作権使用料」を著作者と分け合う会社です。

楽曲を実演した人の権利

楽曲を実演した人(=実演家)とは、楽曲の歌唱や演奏、または打ち込みを手掛けた人を指します。実演家は、楽曲を作詞作曲したわけではなくても、楽曲の流布に貢献することから「著作隣接権」と「報酬請求権」、そして「実演家人格権」を持ちます。

「著作隣接権」は、契約に基づかず与えられる法律上の利益の総体です。また「実演家人格権」は、「著作者人格権」同様に譲渡や相続することはできません。

また少し話が複雑になりますが、ほとんどの場合、実演家が持つ著作隣接権はレコード会社に譲渡されます。つまり先ほどの例で言うと、「LOVEマシーン」を歌唱するモーニング娘。の著作隣接権は、モーニング娘。の所属プロダクションと契約するレコード会社が保有・管理しているということになります(報酬請求権はモーニング娘。が保有します)。

POINT

「プロダクション(芸能事務所)」と「レコード会社」は、別ものです。プロダクションはアーティストのマネージメントを主な業務としますが、レコード会社の主な業務は楽曲の流通または営業です。さらに「レーベル」は楽曲の制作や販売、また販売までのサポートを主な業務として担います。

楽曲を完成させた人の権利

楽曲を完成させた人(=レコード製作者)とは、ミックスやマスタリングを含む完パケ(完全に完成させたもの)までの作業を手掛けた人を指します。レコード製作者は、実演家に同じく「著作隣接権」と「報酬請求権」を持ちます(人格権はありません)。

「完パケ」とは完全パッケージの略で、すべての編集が完了し放送などですぐに使える状態に仕上がった作品のことを言い、完全プログラムを略して「完プロ」と呼ばれることもあります。

レコード製作者の著作隣接権と報酬請求権は、レコード会社から譲渡が求められるケースが多く、ほとんどの場合レコード会社が保有・管理しています。つまり、レコード会社がレコード製作者の著作隣接権と報酬請求権そして実演家の著作隣接権を保有・管理しているということになり、これらレコード会社が持つ権利をまとめて「原盤権」といいます。

実は「著作権」的には問題がない・・・?

ここで言う「著作権」とは「著作財産権」のことです。詳しい内容はこのあと記載しますが、結論として、カラオケ音源が含まれる動画をYouTubeに投稿することは、権利者の著作隣接権に触れますが、著作財産権を限定的に見ればその限りではないということです。

「著作財産権」の問題はない

先述の通り、ほとんどの楽曲の著作財産権はJASRACやNexToneが管理・保有しています。そしてYouTubeやニコニコ動画といった各種動画共有サービスは、通常、JASRACやNexToneと包括契約を結び、著作権使用料を支払っています。これに同じく、カラオケ事業者もJASRACやNexToneに著作権使用料を支払っています。

ですので、各種動画共有サービスを利用する上で、JASRACまたはNexToneが管理する楽曲(=インタラクティブ配信)を使用する場合、その要件を満たす限りは、カラオケ音源を利用した「歌ってみた動画」を投稿することで著作財産権を侵害することはありません

POINT

厳密に言うと、カラオケ事業者はJASRACやNexToneに対して、楽曲の「複製権」や「公衆送信権」、そして「演奏権」の処理も行っています。ちなみにNexToneは楽曲の演奏権は管理していませんので、演奏権に関する支払先はJASRACのみとなります。

「著作隣接権」の問題がある

続いては、問題の著作隣接権についてです。前提として、カラオケ音源は耳コピ職人によって再現されたMIDIデータ(電子楽器の演奏データ)です。つまりカラオケ音源では、レコード会社が管理する楽曲の原盤権について考える必要はありませんが、耳コピ職人(=実演家)に発生する著作隣接権の可能性について思慮しなくてはなりません。

耳コピ職人が行うMIDIデータの作成が、著作権上の「実演」と言えるかどうかは定かではないようですが、仮に認められるとすれば、カラオケ事業者は実演家である耳コピ職人の著作隣接権を保有することになります。そうなると、カラオケ音源で歌った様子を撮影することはカラオケ事業者の「複製権」を侵害することになり、その動画をYouTubeなどにアップロードすることはカラオケ事業者の「公衆送信権」を侵害することになります。

POINT

カラオケでは「生音」マークが付いた曲には、カラオケ事業者が制作した生録音のオーディオ音源が使われており、この場合カラオケ事業者がレコード製作者の著作隣接権を保有しているので、通常のケースとは少し相違がありますが、カラオケ音源の動画が著作隣接権に触れることには変わりありません。

合法に歌ってみた動画をアップしたいなら

もしかすると今「歌ってみた動画はまとめて通報じゃい!」と意気込む方がいるかもしれませんが、著作権的にアウトなのは、あくまでカラオケ音源を利用した「歌ってみた動画」です。つまり、合法に「歌ってみた動画」をYouTubeなどに投稿する方法はあります。

合法にアップする方法はある!ただし大変。

オリジナルの作品を1本つくるだけでもかなりの労力を使うと思いますが、他人の著作物を扱う以上、個人で「歌ってみた動画」をつくる場合は、オリジナルの作品を生み出す以上の労力が必要となる可能性が大いにあるので、ある程度は覚悟しておきましょう!

  1. 動画共有サービスが包括契約を結ぶ、音楽出版社(JASRAC等)を調べる。
  2. 歌いたい楽曲が、手順1の包括契約(インタラクティブ配信)に含まれるか確認。
  3. 手順2の歌いたい楽曲に対して著作者の許諾があるかを確認、または直接許可を取る。
  4. 二次創作で利用許諾のあるオフボーカル音源を探して、ダウンロード。
  5. 手順4の音源を利用して、実際に「歌ってみた動画」を制作する。
  6. 手順1の動画共有サービスに、手順5の「歌ってみた動画」を投稿する。

ちなみに手順4では、手順3の著作者の利用許諾がある場合にのみ、合法にオフボーカル音源をダウンロードする代わりに、オフボーカル音源を自分で演奏するか誰かに依頼して創作することも可能です(=著作権の侵害になりません)。

POINT

ボーカロイドと言えば「初音ミク」が有名ですが、俗に「ボカロP」と呼ばれるボカロ曲の著作者は、個人で著作権を管理しオフボーカル音源を公開していることも多いようです。ダウンロードする際は、記載されている注意事項などをしっかりと読んでルールを守って利用しましょう!

いかがだったでしょうか?この記事を気に入っていただけたら、コメントやシェアをしていただけるととても励みになります!これからも動画編集が楽しくなるような情報をどんどん発信していきますので、たまにサイトをチェックしてみてくださいませ。では、またべつの記事でお会いしましょう!

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